■ベターハウスの不動産仲介業者の「ホンネ」第1回:住宅需要の多様化
一昔前は、仲介業者が日本人あるいは日系企業に対して、サービスアパートあるいはセキュリティ機能が整った高級住宅(多くは中国人が投資した物件)を紹介し、一定の仲介手数料を支払うというのが一般的なビジネススタイルだった。この背景には、多くの日系企業は、駐在員に何かあったら困る、というリスク回避の意味をこめて「安心・安全」を求めていたことと、駐在期間が3年から5年という比較的長期の日本人が多かったことなどが挙げられるだろう。
しかし、最近は、日本人数の増加にあわせて、滞在スタイルも多様化する傾向にある。上海―日本間のアクセスがよくなったこと(例えば、羽田-虹橋間の就航)、短中期プロジェクトの増加、駐在員の住宅予算の削減、現地採用者の増加、交通手段の多様化、住宅クオリティの向上、生活利便施設の充実など、日本人の滞在スタイルを複雑に多様化させる要素は枚挙に暇がない。
それに従い、日本人からの住宅に対するニーズも多様化してきている。短期賃貸可能なサービスアパートや中低賃料の住宅に対するニーズの増加や日本人の少ない物件を好む傾向など、滞在スタイルにおける空間的・時間的な志向の変化が生まれている。上海における長期滞在者のイメージは、もはや「駐在で3年から5年、サービスアパートか高級住宅で暮らす」というものではなくなった。
「伝統型」から「多様型」へ
日本人の滞在スタイルの多様化は、長期滞在を前提とした高級物件の賃貸仲介サービスに対する需要を押し下げる圧力になる。従来通り、これに対する需要は見込めるものの、順調に需要が伸び続けるようなものではないだろう。一部では顧客の奪い合いがはじまっており、競争激化の様相が見られる。
現在、日本人の多様性に対応するようなビジネス展開が避けて通れなくなってきているのは間違いないだろう。「伝統型」の賃貸仲介サービスに加え、「多様型」の中でどの方向性を模索するか――世界一の日本人数を抱える上海において、林立した仲介業者の模索が続く。
第1回:住宅需要の多様化
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